住宅を購入する際、夫婦がそれぞれ自己資金を出し合う場合や、夫婦それぞれが住宅ローンを借りる場合には、負担した金額の割合に応じて土地建物の持分を登記し、共有名義にしなければなりません。共有名義にした場合のメリットとデメリットについて以下にまとめてみました。
共有名義のメリット
住宅ローン控除が夫婦二人分適用になる
夫婦共働きで収入があり、それぞれが住宅ローンを借りる場合には、住宅ローン控除が夫婦二人ともに適用になります。
夫婦それぞれが住宅ローンを借りる(ペアローン)だけでなく、一方が住宅ローンを借り、配偶者がその連帯債務者(※連帯保証人ではありません)になる場合にも、夫婦二人に住宅ローン控除が適用になります。この場合、それぞれの住宅ローンによる住宅購入費用の負担分を考慮して共有持分を登記しなければなりません。
売却時に共有者一人につき最高3000万円の特別控除が適用になる
居住していた住居を売却する場合、譲渡所得を計算する際に3000万円の特別控除が適用になります。特別控除は共有者一人につき最高3000万円、夫婦二人の共有名義である場合には、それぞれ最高3000万円、二人合わせると最高6000万円まで特別控除が適用になります。
(居住用財産の譲渡所得の課税の特例、租税特別措置法第35条)
【参考】
国税庁 タックスアンサー No.3308 共有のマイホームを売ったとき
相続時に相続財産の課税評価額を抑えられる
夫が亡くなり、妻や子供が財産を相続する際には相続税が課税される場合があります。
一般的な家庭にとって、一番評価額の大きな財産は自宅です。
大都市の地価の高い地域に、大きな家を所有している場合には相続税負担が思いのほか大きくなることがあるので要注意です。
自宅の相続税の課税評価額を計算する際、妻が共有持分を持っていたら、その分だけ課税評価額を抑えることができます。
共有名義のデメリット
売却時に共有者全員の同意が必要
共有名義にするデメリットは、家を処分する際には共有者全員の同意が必要ということです。
不動産を共有名義で持つ、ということは実はかなり大きな問題です。将来、思いがけないトラブルになることもあります。
夫婦間でも、二人が同意するのは意外に難しいのです。夫婦がいつまでも仲が良いとはかぎりませんし、離婚することもあるかもしれません。夫婦のどちらかが認知症などになり意思能力を失い、同意できないこともあります。
最期に
家を夫婦の共有名義にすることは、メリットの方が大きいようですが、共有名義にすることで将来、大きなトラブルになることが多々あります。共有持分の決め方も、実際に資金を拠出した割合に合わせていなければ、夫婦間に贈与があったとみなされ、贈与税の課税対象となることもあります。共有名義については、登記前に慎重に検討が必要です。

一級ファイナンシャル・プランニング技能士、公認不動産コンサルティングマスター
ハウスメーカー、不動産会社で勤務した後、FP、不動産コンサルタントとして独立。住宅、不動産の分野に携わり30年以上の経験と知識をもとに個別相談、セミナーなどのサービスを提供している。


